ここのところ、実家に泊まりながらの内装作業をする日が多かったので、久しぶりに谷六の町の雰囲気にすっかり染まっていた。
「町のにおい」というのがあると思う。
雰囲気?色?そういう、目に見えないなにか。
今住んでいる場所も、商店街があったりアイスもなか屋さんがあったり、谷六と一見よく似た素朴な下町だけれど、それぞれに持つにおいが違う。
引っ越してきた頃は、慣れないそのにおいに落ち着かなかったりしたけれど、1年も経てばなじんでくるものだ。どちらの町も「帰ってきた」と思える安心を与えてくれる。
最近、電車で読む本は、以前読んだことのある本と決めている。
ちょうど、吉本ばななさんの「哀しい予感」を読み終えたところ。
前に読んだときよりもすごく好きだな、と思った。
月日の流れやそのときの状況でこんなにも感じ方が違う。
読み終えて地下鉄を降りて、明るい地上に出ると、町の雰囲気をいつもよりやわらかく感じた。
本はやっぱりいいな。
「そうすればよかったんや!」と、あとから知るということを繰り返しながら、なんとか2部屋の内装作業を終えた。あらら・・?と思う部分も多々あるけれど、やっぱりじわじわと愛着がわいてくる場所。